2017年12月22日金曜日

ワールズ・エンド(世界の果て)|ポール・セロー



『もしある人が何かを強く求め、そしてもしそれが、理不尽でないとすれば、要求の対象が何であれ、人はそれを、手に入れるべきである。』

ポール・セローの短編集「ワールズ・エンド」の「ボランティア講演者」からの一節だが、深く共感できる。理不尽でないという部分は主観的な要素だと感じるが、なるべく世間に迷惑をかけまいと言うひかえめさをちらつかせながら、わがままはいいたいという欲求を吐露している。

村上春樹による翻訳ということで手にとって見たが、冒頭の表題作はレイモンド・カーヴァーの匂いがあって、初めて読む文章とは思えない馴染みさがある。

異国に身を置いた落ちつかなさとどことなく行き詰まった感漂う作品が多いが、「文壇遊泳術」に描かれるようなユーモアとウィットはなかなかのもの。あのような身の振り方ができると、肩肘張らずに人生を送れそうな感じがする。

「緑したたる島」は、<世界の果て>を凝縮したような行き場のない若い男女を描いた長めの短編。妊娠した恋人をもて余す作家希望の駄目な男の煮え切らない姿が、息詰まり先行き不安な日々を綴っている。

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